農業ドローンで雑草対策を効率化!田んぼの除草を簡単に

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水稲の除草、どうしてこんなに大変なの?

水稲を育てる上で、避けて通れないのが 雑草との戦い です。せっかく丁寧に田植えをしても、あっという間に生えてくる雑草たち。放っておけば稲の養分を奪い、収量がガクッと落ちてしまいます。

でも、除草って本当に厄介ですよね。 除草剤に頼るべきか?いつのタイミングで行うのか? どの方法を選んでも、なかなか一筋縄ではいかないのが現実です。

さらに、「昔より雑草が増えた気がする…」と感じる人も多いのではないでしょうか?近年の気温の変化や、耐性を持った雑草の出現など、環境もどんどん変わっています。「昔ながらのやり方で大丈夫」と思っていたら、気づけば雑草に埋もれてしまう…なんてことも。

じゃあ、どうすればいいのか? 効率的で効果的な除草方法はあるのか? この記事では、水稲の除草について深掘りしながら、現場で役立つ対策を考えていきます!

除草作業のコスト

昔は

昔は手作業でやっていた」 と言われても、具体的にどれくらいの労力がかかっていたのか、なかなかピンとこないかもしれません。

かつての水稲除草は、基本的に 人力頼み でした。田んぼに膝まで浸かりながら、一株ずつ丁寧に手で抜いていく「手取り除草」や、草を土に埋め込む「田車(でんぐるま)除草」が主流。特に 昭和30〜40年代以前 は、除草剤の普及も進んでおらず、この手作業が当たり前でした。

では、その作業にどれくらいの時間がかかっていたのか。

かつては 10アール(1,000㎡)あたり50時間 もの労力を費やしていたと言われています。これは、1日8時間働いたとして 6日以上 かかる計算です。1ヘクタール(10,000㎡)に換算すると、なんと 500時間
農家にとっては 過酷な重労働 でした。

現在の作業時間は?

時代が進み、 除草剤の導入 によってこの負担は大幅に軽減されました。現在では、農林水産省の調査によると 1ヘクタールあたり約10時間 に短縮されています。これは、昔に比べると 20分の1 にまで削減されたことになります。

とはいえ、「10時間で済むなら楽勝」と思うのは早計です。機械や農薬を駆使しても、雑草との戦いは今なお続いています。新たな耐性雑草の出現や、農薬だけに頼れない環境への配慮など、昔とは違った課題も浮上してきました。

引用:農薬工業会HP https://www.jcpa.or.jp/qa/a6_18.html

除草剤のコスト

除草剤は種類や効果範囲によって価格が異なりますが、1ヘクタールあたりのコストは3,000~5,000円程度が一般的です。広範囲をカバーする製品や、耐性雑草対策用の製品ではさらに高価になることがあります。また昨今の物価高騰によって資材コストも上昇しています。

作業コスト

1ヘクタールあたりの除草剤散布費用は合計で10,000~20,000円程度が一般的です。

機械を使った場合は燃料費やメンテナンス費用が追加されます。除草機械を使用する場合、燃料費は1ヘクタールあたり2,000~3,000円程度。さらに機械のメンテナンス費用が年間で5万円以上かかることもあります。

環境保全型の稲作では化学農薬の使用が制限されるため、除草作業にかかる労働費が1反(10アール)あたり約8,000円増加するケースもあります。滋賀県では環境保全型の農業が多いため、琵琶湖保全のために農家の労働コストが非常にかかっている事が実態です。

農家が直面する除草の課題

では、なぜ雑草は米農家にとって大きな課題となるのでしょうか?その理由を以下にまとめます。

1. 雑草が水稲の成長を妨げる

  • 競争による収量減少:
    雑草は水稲と 養分・光・水分を奪い合う ため、生育を大きく妨げます。特に初期の生育段階で雑草が繁茂すると、稲が十分に成長できず、最終的な 収量が20~50%も減少 することがあります。

    例えば、「コナギ」や「ホタルイ」などの水田雑草は、稲と同じ環境でよく育ち、稲の光合成を阻害します。また、「ヒエ」や「アゼナ」は根が強く、稲よりも速く成長してしまうため、放置すると 稲が負けてしまう ことも。
  • 品質低下のリスク:
    雑草が田んぼに生えていると、収穫の際に雑草の種子や異物が混入しやすくなります。その結果、 米の品質が低下 し、商品価値が下がる可能性があります。特に近年は 消費者の品質への要求が高まっている ため、わずかな異物混入でも市場価値が落ちてしまうことがあります。

    また、「クログワイ」や「ミズガヤツリ」などの多年生雑草は、一度生えると 翌年以降も増殖し続ける ため、除草対策を怠ると田んぼ全体に広がり、収穫後の管理も大変になります。

2. 人手不足と高齢化

  • 人手不足:
    日本の農業従事者は 年々減少 しており、田んぼの管理が追いつかないケースが増えています。農林水産省の統計によると、 2020年以降、年間約2%ずつ農業従事者が減少 しているというデータもあります。

    人手が足りないと、田んぼ1枚ずつ丁寧に雑草を取り除く時間がなくなり、結果として 雑草が増えやすくなる 悪循環に陥ってしまいます。
  • 高齢化:
    日本の農業従事者の 平均年齢は67歳以上(2023年時点) であり、多くの農家が高齢化しています。除草作業は 腰をかがめたり、田んぼの中を歩き回ったり する重労働のため、体力的な負担が非常に大きい作業です。

    特に 炎天下の手作業は熱中症のリスク も高く、高齢の農家にとっては 事故や健康被害 につながることもあります。そのため、「昔は手で取っていたけど、今はそれができない…」という農家も増えてきています。

雑草の耐性化 – 除草剤が効かなくなる問題

近年、水稲栽培において 「雑草の耐性化」 が大きな課題となっています。これは、長年にわたって 同じ種類の除草剤を使い続けた結果、雑草が薬剤に耐性を持つようになり、除草剤が効きにくくなる現象 です。

かつては「この除草剤を使えば大丈夫」とされていたものが、数年経つと 全く効果がなくなる というケースが増えてきました。これは病害虫の薬剤耐性と同じような仕組みで、除草剤を散布しても生き残った雑草が繁殖し、次第に耐性を持った個体が増えていくためです。

田んぼに草が生えるのはなぜ?

田んぼに草が生えるのは、主に次のような理由があります。

  1. 土の中に眠る雑草の種
    土壌には過去の雑草から落ちた種がたくさん含まれています。これらは水や光、気温などの条件が整うと発芽します。
  2. 田んぼ特有の湿った環境
    水田の湿地のような環境は、雑草が成長しやすい場所です。コナギやヒエなど、水中で育つ雑草が特に増えやすくなります。
  3. 肥料が雑草も育てる
    水稲の成長を助ける肥料が、雑草の栄養にもなります。これが雑草の繁殖を助ける一因です。

我々も何度も雑草に負けた経験があります….

農業ドローンで除草できるの?

農業ドローンで除草が可能です。基本である液剤散布装置はもちろん、粒剤散布装置をつけることで粒剤も散布することができます。ドローンで行うメリットは以下の通りです。

  1. 作業時間を短縮できる。
    従来の手作業や機械散布に比べて、効率が大幅に向上します。
  2. 均一に薬剤を散布でき、効果が高い。
    ドローンは自動制御で一定の高さを保ちながら薬剤を散布するため、ムラがなく雑草を効果的に駆除できます。
  3. 手作業が減り、身体的負担が軽減される。
    ドローン操作は地上からリモートで行うため、重労働や長時間作業の負担が大幅に軽減されます。

除草のおすすめ農業ドローン

除草を行う際のおすすめ農業ドローンを紹介します。

  1. DJI AGRAS T10

    コンパクト設計: 小型で軽量なため、小規模な田んぼや複雑な地形にも対応可能。

    対応粒剤: 最大10リットルのタンクを搭載し、1キロ粒剤など初期除草剤の散布にも対応。粒剤を均一に広げる設計で、初期の雑草対策が効率的に行えます。
    散布精度: 4ノズルの均一散布システムで、田んぼ全体にムラなく薬剤を広げることが可能。
    耐久性: IP67規格の防水・防塵性能により、過酷な環境でも安心して使用可能。
    小回りの良さ: 狭い畦道や複雑な地形の管理にも適しており、操作性に優れています。

    おすすめポイント:
    初期除草で使用される1キロ粒剤の散布に最適。小規模農地や初めて農業ドローンを導入する農家に向いています。
  1. DJI AGRAS T25
    大型タンク: 25リットルの大容量タンクを搭載し、大規模農地や連続作業に最適。1キロ粒剤も大量に散布可能で、広範囲を効率的にカバーします。
    粒剤散布性能: 高精度のスプレーシステムで、粒剤や液体除草剤のどちらにも対応。初期除草から中後期除草まで一台で行えます。
    高度な自動化: デュアルレーダーとRTK測位システムを備え、散布ルートを自動計算。農地の形状に合わせて正確な散布が可能です。
    効率重視: 1時間で最大15ヘクタールの作業が可能。AIアルゴリズムで最適なルートを計算し、作業時間をさらに短縮します。
    耐久性と長時間稼働: スマートバッテリーと高い耐久性で、連続運転にも対応します。

    おすすめポイント:
    広範囲で1キロ粒剤や液体除草剤を使用する農家向け。作業効率を最優先に考える方にぴったりです。

農業ドローンを使った除草のすすめ

雑草対策を効率よく進めるために、ドローンで散布可能な除草剤を活用するのがポイント です。
手作業や動力散布機では時間がかかる広範囲の圃場も、ドローンなら短時間でムラなく散布可能!

ここからは、ドローン散布に最適な除草剤 をご紹介します。用途や対象雑草に応じて、ぜひ活用してみてください!

初期除草(田んぼの植え付け直後)

  • ポイント:
    小さい雑草を早めに駆除することで、後の作業が楽になります。
  • 対象雑草:
    イヌビエ、ノビエ、コナギなど。

初期除草剤のおすすめ商品

  • アピロファースト1キロ粒剤:
    ノビエに対して効果の高い「ピリフタリド」と、SU抵抗性雑草に有効な「ベンゾビシクロン」を配合した水稲湛水直播栽培専用の初期除草剤です。
項目(1反あたり)数値
薬剤量1キロ
推奨ドローンMG-1,T10〜大型機
散布時間約1分
  • ショキニー250g(豆つぶ剤):
    ホタルイなどのカヤツリグサ科雑草に効果の高いブロモブチドと、ノビエ、コナギ、アゼナなどの水田一年生雑草全般に優れた殺草活性を示すペントキサゾンを混合した初期除草剤です。
    粒径約5mmの豆つぶ製剤で、10アール当りの使用量が250gと軽量、省力型の水稲用初期除草剤です。
    薬剤が自己拡散するため、片道で散布を終了させることができます。
項目(1反あたり)数値
薬剤量250g
推奨ドローンMG-1,T10
散布時間30秒
散布幅15m

中後期除草(稲が成長してから)

  • ポイント:
    大きく育った雑草を根から駆除することが重要です。
  • 対象雑草:
    取りきれなかったノビエ、クログワイなど
  • おすすめ商品:
    • ロイアント乳剤
      成長したノビエ などに効果的な 水稲用中後期除草剤 で、葉や茎から吸収させる液体タイプの除草剤です。
      これまでは1000倍希釈だったため、動噴やブームスプレイヤーでの散布に限定されていましたが近年少量散布も認められ、25〜100倍希釈での散布が可能になりました。
      またこの少量散布においても空中散布が認められたため、ヘリドローンでの散布が可能になりました。散布量が多いためT25やT50に限られますが非常に効果的な除草剤です。
項目(1反あたり)数値
液剤散布量25L~100L
推奨ドローンT25,T50
散布時間1分
時間あたり散布量24L/分

  • アレイルSC: クログワイやクサネムに効く日産化学の液体除草剤。
    クログワイやクサネムに効果的な水稲用中後期除草剤 で、 葉や茎から吸収 させて雑草を枯らすタイプの液体除草剤です。これまでは 1000倍希釈 での使用が一般的で、動噴(動力噴霧機)やブームスプレイヤー での散布が主流でしたが、近年では 少量散布(25〜100倍希釈)が認められ、ドローンやヘリでの空中散布も可能 になりました。T25やT50のドローンを使用して散布することで、大量の雑草を短時間で駆除できます。
項目(1反あたり)数値
液剤散布量25L~100L
推奨ドローンT25,T50
散布時間1分
時間あたり散布量24L/分

まとめ

田んぼに草が生えるのは自然な現象ですが、放置すると稲の成長を妨げる原因になります。農業ドローンを活用すれば、除草作業を効率化しながら環境に優しい雑草対策が可能です。これからのスマート農業には欠かせない技術ですので皆さんもぜひ活用してみましょう!

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