【食料・農業・農村基本法に見る日本農業の未来】食料安全保障と地域活性化に挑むNINJA LINKSSの取り組み

農林水産省が示した「食料・農業・農村基本法」は、未来の日本農業にとって重要な転換点となりました。この法律は、持続可能な農業の発展や食料自給率の向上といった課題に向き合い、農業と地域社会の新たな未来を描くものです。
特に、2024年に改正された「食料・農業・農村基本法」では、以下の5つの基本理念が掲げられており、それぞれが日本の農業、食料、農村を支えるための重要な柱となっています。その内容について詳しく解説していきます。
1.食料安全保障の確保
なぜ「食料安全保障の確保」が重要なのか?
日本は食料の多くを輸入に依存しており、食料自給率(カロリーベース)は約38%(2022年時点)と先進国の中でも低い水準です。また、ウクライナ危機やパンデミックの影響などにより、国際的な食料供給が不安定になりつつあります。こうした状況の中で、食料の安定供給を確保することは、日本の国民生活や経済の安定にとって極めて重要です。
政府は、国内生産の強化・備蓄の充実・輸入の多様化の3つを軸に、食料安全保障の確立を目指しています。
食料安全保障に向けた具体的な取り組み
国内生産の強化
国内での農産物生産量を増やすため、農地の効率的活用やスマート農業技術の導入を推進。
備蓄の強化
米や麦、大豆などの主要穀物や飼料の備蓄体制を整備。
輸入の安定化
輸入先国の多様化や、調達網の強化を進め、不測の事態に備える。
食料アクセス困難の人口推移
高齢化により、食料にアクセスできる人が減少していくことが推測されます。

参考元:農林水産省 https://www.maff.go.jp/primaff/koho/seminar/2018/attach/pdf/180704_01.pdf
2.農業の持続的な発展
なぜ「農業の持続的な発展」が重要なのか?
日本の農業は、高齢化や担い手不足、気候変動など多くの課題に直面しています。一方で、世界的に人口が増加する中で、日本の農産物を国内外に安定供給することが求められています。そのため、「農業を成長産業として発展させる」 ことが重要です。
政府は、生産性の向上・新規参入の促進・付加価値向上 の3つの柱を掲げ、持続可能な農業の実現を目指しています。
農業の持続的な発展のための具体的な取り組み
生産性向上
高収量の新品種開発やスマート農業の導入で効率化。
新規参入の促進
若者や企業が農業に参入しやすい環境を整備。
付加価値の向上
農産物のブランド化や加工食品の開発で市場価値を高める。
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3.環境と調和のとれた食料システムの確立
なぜ「環境と調和のとれた食料システム」が必要なのか?
近年、気候変動・生物多様性の減少・土壌劣化・水資源の枯渇 など、農業を取り巻く環境問題が深刻化しています。また、世界的な「脱炭素化」の流れの中で、農業も環境負荷を低減しながら持続可能な形で発展 することが求められています。
日本では、農業が自然と共存しながら発展してきた歴史があります。その伝統を活かしつつ、最新の技術や政策を組み合わせ、持続可能な農業 を実現することが「環境と調和のとれた食料システムの確立」の目的です。
環境と調和のとれた
食料システムの確立に向けた具体的な取り組み
農林水産省が令和3年に掲げた「みどりの食料システム戦略」では、以下の具体的な目標が定められました。
化学農薬・化学肥料の削減
有機農業や環境に優しい栽培方法の普及として2050年までに
化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減
輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減
耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大
脱炭素化
バイオマスや再生可能エネルギーの利用促進では、
農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
フードロス削減
食品廃棄物の発生を抑え、効率的な食料流通を実現する。
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4.多面的機能の発揮
なぜ「多面的機能の発揮」が重要なのか?
農業は単なる食料生産活動にとどまらず、地域社会や環境の維持において重要な役割を果たしています。例えば、農地は洪水の防止や地下水の涵養(かんよう)※に寄与し、里山の景観は観光資源にもなります。また、農業を営むこと自体が地域のコミュニティを維持し、伝統文化を継承する役割 も担っています。
しかし、農業の担い手不足や高齢化が進むことで、こうした多面的機能が弱まりつつある という課題があります。そこで、この理念では 「農業の持つ多面的な価値を守り、地域全体の利益として支える仕組みを強化する」 ことを目的としています。
多面的機能の発揮に向けた具体的な取り組み
共同活動の支援
農業生産を通じて地域コミュニティを強化する活動を支援。
農村景観の保全
棚田や緑地の保全を推進。
農村の防災力向上
農業用水路やため池などの管理を通じて災害に備える。
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5.農村の振興
なぜ「農村の振興」が重要なのか?
日本の農村地域は、人口減少・高齢化・後継者不足 などの深刻な課題を抱えています。都市部への人口流出が続き、過疎化が進むことで、農業の担い手不足や地域の活力低下が加速しています。さらに、生活インフラの縮小や耕作放棄地の増加 など、地域全体の存続が危ぶまれる状況も生まれています。
一方で、農村には 豊かな自然・文化・伝統的な暮らし など、都市にはない魅力が数多く存在します。この資源を活かし、農業を基盤とした「持続可能な地域社会」 を再構築することが求められています。
「農村の振興」とは、単なる地域活性化ではなく、農業を核とした新たなライフスタイルやビジネスモデルを創出し、地域の魅力を再発見・再構築すること を目的としています。
具体的な取り組み
地域資源の活用
農泊(農業を活かした宿泊事業)やジビエ(野生鳥獣の肉利用)を活用した観光資源の開発。
生活インフラの整備
交通や通信インフラを充実させ、農村での暮らしやすさを向上。
農福連携
福祉活動と連携し、高齢者や障害者が農業活動に参加できる仕組みを構築。


画像は、2024年にNINJA LINKSS(旧鮎河小学校)にて地域と連携したイベントの様子です。
農業支援サービス事業体が重要な理由
農業支援サービス事業体は、スマート農業技術や先進的な生産管理手法を提供し、生産者や産地の課題解決をサポートする専門組織です。特に、スマート農業に関心を持ちながらも、知識や資金、人的リソースの不足から導入に踏み切れない農業者を支援することに特化しています。
スマート農業を地域に広げる架け橋
農業支援サービス事業体は、スマート農業に関心があるが導入が難しい生産者や産地にとって、技術と実践の間をつなぐ架け橋です。これにより、農業現場へのスマート技術の浸透が進み、地域全体の競争力向上が期待されます。
地域産業の維持と発展のために
1.労働力不足の解消
技術導入で人手を補い、高齢化した農業者の負担を軽減。
2.農村活性化
地域全体での取り組みが農村コミュニティの活性化につながります。
以上の二点はわたしたちNINJA LINKSSの使命でもあります。

おわりに
改正「食料・農業・農村基本法」による変化は、これからの日本農業の未来を形作る重要なものです。農業ドローンやスマート農業、次世代支援サービスの普及は持続可能な農業を実現し、環境と経済の調和を目指すカギとなるでしょう。NINJA LINKSSとともに地域の農業を守りたいという事業者様がおられましたらお問い合わせフォームよりお待ちしております。
